希少価値

正月、実家に帰ったときにウチの母親が目をギラギラ輝かせながら、レンコンの掘り方について淡々と語ってくれました。市場にあれだけ出回っているし有名な根野菜であるレンコン。簡単に作れそうなものですが、泥の中を掻き分けて土を振り払いながら何束も繋がったレンコンを掘り出す(詳細忘れました)という、要は大変な作業らしいです。

 
そんな大変取るのに難しいレンコンが、この価格で売られているのは生産者も割に合わないだろうなぁと言うところから希少価値に話が膨らみました。

 
 
もしもレンコンの希少価値だ高かったなら。
レンコン一本が数千円もするようになったら、多分ありがたすぎてウチの食卓には上がることは無いでしょう。もし食べられる機会があれば、ゴージャスな皿の上に乗せられ、金平にされようものなら「あ~このシャキシャキ感。、すげ~うめ~」とか言ってることでしょう。で、話は生産者の話題に移り「こんなにレンコン取るのは大変なんだ。もう一生食べれないかもな。ありがたや、ありがたや」とレンコンの切れ端をジップロックにしまって保管しておくに違いありません。

 
 
つづいてもしもの話題に上がったのが
もしもサンマの希少価値が高かったなら。
これもやばいです。「俺この前、接待であのサンマを食べたんだよ。まっじおいしいよ。あの油の乗り具合と言い香ばしさといい、生まれてきてよかったよ。」とサンマの頭をポケットから出して自慢しているに違いありません。いやほんとにサンマの生殖機能が丈夫でよかったです。それとサンマが日本近海を泳ぎまわっているのに感謝が堪えません。

 
 
最後に、私が一番とんでもないと思ったのが、こちら。
もしも豆腐の希少価値が高かったなら。
銀座の高級懐石料理店で豆腐一丁の湯豆腐が10万円くらいしたならば、「友人の父親が豆腐屋の一員でさ(どうしても自分が高級料亭にいるシチュエーションが想像できませんでした)、たまたま豆腐を一口もらったんだけど、あれは食べ物じゃないね。あれは幻だよ。口の中でほろっと溶けていくんだもん。喉を通すのがもったいなかったね。味も限りなく自然体で、あれを一丁も食べれたら俺は死んでもいいね」などとこぼしているに違いありません。「ああ、幻の豆腐」とか言いながら日記をつづっていることでしょう。そう考えると何の味もしない豆腐を食べても自然と幸せ気分にひたれました。

 
 
逆に

もしもキャビアの希少価値が低かったなら。
「なんか潮臭くって、しょっぱいし、見ためもグロいから捨てちゃいなよ」
もしもマツタケの希少価値が低かったなら。
「マツタケ?なんか匂いがね~。味もパッとしないし」

となるのは容易に想像できてしまいます。

 
ま、人間の価値と味覚なんてこんなもんで無いでしょうかね、としみじみ実感してレンコンを残しました。だってお腹一杯なんだもん。

 
 
 
蛇足:
エリンギを輪切りにしてマツタケのお吸い物と一緒にご飯を炊くと、マツタケの炊き込み御飯ができると言う話がありますが、実践してみたところエリンギはエリンギだ(ほとんどよけてエリンギだけ醤油につけて食べました)が結論です。でも普通に炊き込み御飯と認識すれば結構美味しいです。但しお吸い物を入れる際は、乾燥ねぎと乾燥ワカメは取り除くことをお勧めします。。。