ムラサメモンガラ

ムラサメモンガラ（Rhinecanthus aculeatus）は、モンガラカワハギ科ムラサメモンガラ属に属する海水魚で、英名ではピカソトリガーフィッシュやラグーントリガーフィッシュとして知られています。
この魚は、インド洋から太平洋にかけての広大な海域に生息し、日本では神奈川県三浦半島以南の太平洋岸から琉球列島、小笠原諸島まで分布しています。北緯30度から南緯30度にかけての温暖な海域を好み、特にサンゴ礁の浅所に多く生息する普通種です。
和名の「ムラサメ」は、体に斜めに走るラインが突然の強い雨である「村雨（むらさめ）」に例えられたことに由来します。その独特な模様から、英名でピカソの名を冠されているのも特徴的です。
ダイビングやシュノーケリングで観察する際の注意点として、繁殖期には非常に攻撃的になることが挙げられます。普段は警戒心が強く人が近づくと逃げる傾向がありますが、繁殖期になると一変し、人間に対しても果敢に攻撃を仕掛けてきます。特に真ん中の黒い部分がグレーに変色している個体は攻撃性が高いため、注意が必要です。
近縁種のタスキモンガラとの違いは、体の模様で見分けることができます。また、最大で30cmになりますが、通常は全長15cm程度で、眼下から胸鰭にかけて3本の青色線が特徴的です。サンゴ礁周辺の砂地や岩礁に生息し、ウニや甲殻類、多毛類、腹足類などを食べる雑食性の魚です。