アブラヤッコ

アブラヤッコはスズキ目キンチャクダイ科アブラヤッコ属に属する魚で、学名は Centropyge tibicen です。英名では「Keyhole Angelfish」と呼ばれ、これは体側にある鍵穴のような模様に由来しています。「アブラヤッコ」という和名の由来は明確には分かっていませんが、1955年に松原喜代松が著した『魚類の形態と検索』に和名が記載されています。駿河湾以南から西太平洋にかけて広く分布しています。主にサンゴ礁や岩礁域に生息し、水深50メートル以浅の場所で見られることが多いです。全長は最大で19cmに達し、アブラヤッコ属の中では大型の部類に入ります。その鮮やかな体色と独特の模様はダイバーにとって見つけやすく、特にサンゴ礁の周辺でよく見かけることができます。アブラヤッコは比較的警戒心が強く、近づきすぎるとすぐに隠れてしまうため、観察する際はゆっくりとした動きが求められます。
アブラヤッコと近似種を見分けるポイントはいくつかあります。まず、体側にある鍵穴のような白い斑点が特徴的です。また、体全体が黒っぽい色をしており、尾びれの先端が黄色くなることが多いです。近似種の中には、例えばフレームエンゼルフィッシュ (Centropyge loricula) などがいますが、こちらは体全体が鮮やかな赤色をしており、斑点がないため容易に区別できます。
アブラヤッコはその美しい体色と模様から、スキューバダイビングの際に非常に人気のある魚です。分布域も広く、比較的浅い場所で見られるため、初心者からベテランダイバーまで楽しむことができます。近似種との見分け方を覚えておくことで、より深い観察が可能になります。ぜひ次回のダイビングでアブラヤッコを探してみてください。