スミツキゴンベ

スミツキゴンベは、スズキ目ゴンベ科に属する海水魚で、学名は Cirrhitops hubbardi です。日本では八丈島や沖縄諸島、小笠原諸島などの潮通しの良い浅い岩礁やサンゴ礁に生息しています。分布域は太平洋西部の熱帯域にも広がり、特に小笠原諸島ではよく見られる魚です。
この魚の名前の由来は、尾柄部にある大きな黒色斑（墨のような模様）にちなんでいます。また、体側には白色斑もあり、体色は暗色から赤みを帯びたものまで変化します。体長は約9cmと小型で、背鰭の軟条数が14本と多い点が特徴です。
スキューバーダイビングの観点から見ると、スミツキゴンベは比較的人懐っこい性格で、ダイバーが近づいても逃げにくいことから観察や撮影がしやすい魚です。特にサンゴ礁や岩礁の上で静止している姿をよく見かけます。そのため、ダイバーには人気があり、水中写真家にとっても魅力的な被写体となっています。
他のゴンベ科の魚との見分け方としては、尾柄部の黒色斑が最も顕著な特徴です。また、頭部や体側にある白点や白色斑も識別ポイントとなります。これらの模様がない種や異なる配置を持つ種とは容易に区別できます。
鮮やかな模様と小型サイズから、水族館や家庭用アクアリウムでも飼育されることがあります。
スミツキゴンベはそのユニークな模様と穏やかな性格から、多くの海洋愛好家やダイバーに愛される存在です。サンゴ礁の豊かな生態系を象徴する魚として、その観察を通じて海洋環境への理解を深めるきっかけにもなっています。