コブヌメリ

コブヌメリは、スズキ目ネズッポ科コブヌメリ属に分類される小型の海水魚で、学名はDiplogrammus xenicusです。インド洋・西部太平洋の熱帯域を中心に生息し、砂底や岩礁の浅い海域で見られます。
この魚の特徴的な点は、体側の下部に体軸方向に走る皮褶があり、鰓蓋部が皮弁状になっていることです。体は細長く、頭部は平たく、大きな口と目を持っています。
ダイビングで観察する際には、底生性で海底付近に生息することから、砂地や岩礁の近くをよく観察する必要があります。水深300メートルまでの浅海に生息し、主に甲殻類や小さな無脊椎動物を捕食します。
繁殖期には興味深い行動が見られ、雄は鮮やかな鰭を使って雌に求愛のディスプレイを行います。ペアが形成されると、雄が雌を胸鰭で支えながら水面近くまで上昇し、そこで産卵が行われます。
ネズッポ科の魚類は「リトル・ドラゴン」という愛称で親しまれ、コブヌメリもその一員です。体色は鮮やかで複雑な斑紋を持ち、性的二形が見られ、雄はより大きな背鰭と華やかな体色を持ちます。
ダイバーにとって、コブヌメリの観察は海底生態系の豊かさを実感できる良い機会となります。ただし、前鰓蓋骨に強靭なトゲを持っており、一部の種では毒を持つことが報告されているため、不用意な接触は避けるべきです。