ドチザメ

ドチザメは、日本近海を中心に生息するサメの一種で、学名はTriakis scylliumです。分類上は顎口上綱軟骨魚綱ネズミザメ上目メジロザメ目ドチザメ科に属します。その分布域は、青森県から九州にかけての日本海、東シナ海、太平洋沿岸、瀬戸内海、さらには八丈島や朝鮮半島南岸・西岸、中国沿岸など広範囲に及びます。主に内湾の砂地や藻場、さらには汽水域にも進出することがあります。
名前の由来については明確な記録がありませんが、「ドチ」という語が黒い斑紋を指している可能性があります。この種は地方によって呼び名が異なり、例えば「コロザメ」や「ホシザメ」とも呼ばれることがあります。
スキューバダイビングの観点から見ると、ドチザメは比較的おとなしい性格で、人間に危害を加えることはほとんどありません。そのため、ダイバーにとっては観察しやすいサメの一種とされています。また、体に薄い横縞模様や黒褐色の斑点があることが特徴で、この模様を目印に他の種と見分けることができます。例えば、同じく日本近海で見られるイヌザメ（テンジクザメ科）とは属が異なり、模様や体型で区別可能です。
食材としてのドチザメは一般的ではなく、市場で見かけることは少ないものの、一部地域では食用とされています。その味わいは「美味」と評価されることもあり、煮付けや唐揚げなどで調理されることがあります。
全体的に見ると、ドチザメはその穏やかな性格と独特の模様からダイバーには親しまれつつも、市場ではあまり注目されない存在です。しかし、その生態や分布について知ることで、日本近海の豊かな生物多様性を感じることができるでしょう。