ヒゲダイ

スズキ目イサキ科ヒゲダイ属に属するヒゲダイは、日本の沿岸域で見られる特徴的な魚です。分布域は福島県・山形県から九州南岸、瀬戸内海、さらには小笠原諸島にまで及んでいます。
下あごに密生した白いヒゲが最大の特徴で、これが和名の由来となっています23。特にヒゲダイ属の中でも最も長いヒゲを持つことで知られており、かつては「ヒゲダヒ」と呼ばれていました1。学名の種小名「sennin」は、長いあごヒゲと尖った下顎を持つ風貌が仙人を思わせることから名付けられたという興味深い由来があります。
ダイビングポイントでは沿岸域の岩礁地帯で出会うことができます6。同じイサキ科のヒゲソリダイやセトダイと似ていますが、体高が高く、より丸みを帯びた体型をしているのが特徴です。特にイサキ科の魚の中では体高が際立って高いため、水中での識別は比較的容易です。
漁獲量は多くありませんが、刺身として非常に美味な魚として知られています。11月は旬の時期とされ、この時期になると味がより一層引き立ちます。
ダイビング中に見かける機会は多くありませんが、出会えた際には、その独特な姿と優雅な泳ぎぶりを観察する価値があります。特に、下あごの白いヒゲが水中でふわふわと揺れる様子は印象的で、水中カメラでの撮影対象としても人気があります。
なお、幼魚は他の魚種と見分けがつきにくい場合がありますが、すでに特徴的なヒゲと体型を持っているため、じっくりと観察することで識別が可能です。ダイビング中に見かけた際は、岩陰やサンゴ礁の周辺をよく観察すると、その生態をより詳しく観察することができるでしょう。